この記事の前提
ここで紹介するのは、少人数・多品種小ロットの食品製造業である当社の経験と判断です。各製品やサービスの優劣を断定するものではありません。機能、料金、契約条件、法令は変更されるため、導入・表示作成時は必ず最新の公式情報と自社の運用条件を確認してください。
当社では、在庫管理ツールからBrotherのラベルプリンターへブラウザ経由で印刷する仕組みを検証しています。
この経験を、一括表示ラベルの印刷にも転用できないかと考えています。

すでに確認できている部分
- ブラウザ画面で対象データと枚数を選択する
- 商品データをラベルテンプレートへ差し込む
- Brotherラベルプリンターへ出力する
- 小ロットで必要枚数だけ印刷する
大量の同一ラベルを量産するのではなく、商品やロットに応じて枚数が変わる当社では、QL-800のような小型感熱ラベルプリンターとの相性が良いと感じています。
一括表示への転用は、印刷できれば完成ではない
在庫ラベルで印刷経路が動いても、一括表示では別の難しさがあります。

- 原材料、添加物、アレルゲンを正しいルールで組み立てる
- 文章量に応じて文字サイズや行間を調整する
- 表示可能面積へ収まっているか確認する
- 商品データとテンプレートの版を対応付ける
- 印刷前に内容を確認・承認する
- 印刷した時点の表示内容を保存する
- 再印刷、テスト印刷、廃棄を区別する
つまり、検証済みなのは「ブラウザからBrotherへ出力する経路」です。一括表示の生成、確認、版管理、履歴までを含む運用は、これから作り込む部分です。
関連情報:なぜブラウザベースにこだわるのか――工場のPC・タブレット・OS依存を減らす設計
想定している構成
タブレット/PC
商品・ロット・枚数を選択
↓
Webアプリ
承認済み表示データとテンプレート版を確定
↓
印刷ジョブを登録
↓
Windows印刷端末
b-PACでLBXテンプレートへ差し込み
↓
Brother QL-800
↓
成功・失敗・実印刷枚数をサーバーへ返す

テンプレートと商品データを分ける
P-touch EditorのLBXテンプレートには、用紙幅、文字枠、バーコード位置などのレイアウトを持たせます。商品マスタ側には、どのテンプレートを使用するか、どの表示データ版を差し込むかを持たせます。
レイアウトと内容を分けることで、同じ商品データを異なるラベルサイズへ出力しやすくなります。ただし、文字の自動縮小に任せすぎると読みにくくなるため、出力前のプレビューと承認が必要です。
当面の現実的な目標
最初から全自動にするのではなく、次の順で進める方が安全だと考えています。
- 商品と承認済み表示を選び、プレビューする
- 枚数とロットを入力する
- 印刷ジョブを登録する
- Windows印刷端末で出力する
- 印刷結果を記録する
- 実績を見ながら自動化範囲を広げる
参考資料
この連載の記事
- 第1回:ツールから選ぶと沼にはまる――小規模食品メーカーがAccessからブラウザDBへ進んだ理由
- 第2回:食品表示と規格書をExcel・Accessで管理する限界――転記が増え続ける理由
- 第3回:kintone・FileMaker・Exment・規格書サービスを検討して分かった――構想から逆算するツール選び
- 第4回:なぜブラウザベースにこだわるのか――工場のPC・タブレット・OS依存を減らす設計
- 第5回:Accessの商品マスタをPHP・MySQLへ移した――まだ「引っ越し段階」の食品表示DB
- 第6回:在庫管理で検証したBrotherブラウザ印刷を、一括表示ラベルへ転用できるか
- 第7回:何枚印刷したかを残す――ラベル履歴・ロット・商品情報を結ぶ設計
- 第8回:一括表示を「私しか作れない」から「誰でも作れる」へ――食品表示DBの再設計
- 第9回:商品マスタ・一括表示・製品規格書を一つのデータへ――取引先別書式との向き合い方
- 第10回:AIで長年の構想が動き出した――食品現場と技術を横断して組み立てる小規模DX

